君の明日と笑顔のために





「翔君。俺、俺もう帰るから。」
いつもは車で送ってやったり、ファミレスに寄ったり、
それだけでは終わらないはずなのだけれど、今日は違った。
俺が悪い。全て俺に非がある。そんなことはわかってる。
松本がそう言った時の声は少し鼻声で、元気がなかった。


「電話に出なかったくらい、しょうがないじゃん。俺仕事だし。」
「でも、メールも返事ないんだよ?飯食う暇あるくらいなら俺にメールしろって!」
「は?意味わかんねえよ。そんな無茶言うなよ。お前の言ってることもわかるけど…」
「全然わかってない!この分からず屋!鈍感男!馬鹿!」
今朝、仕事場で会った途端、文句を言われた。最近は個々の仕事が多くて、中々連絡を取れずにいた。
それでも松本はよく電話を掛けてきたり、メールを送ってきたりした。
俺は時間がなくてほとんどスルー。悪いとは思ってるけど仕方がないことだ。
「翔君は、俺のこと好きじゃないんだ。」
小さくそう言うのが聞こえた。けど、聞いていないフリをした。
自分の耳が熱くなるのがわかる。だけどここは仕事場。
プライベートと仕事はきっちり分けないといけない。これが芸能人だ。


結局その日1日、必要以上のことは口にしなかった。
他の3人も俺らのことを察したのか、無理矢理にくっ付けようとか、からかう様な事はしなかった。
「翔君。俺、もう帰るから。」
松本は鼻声でそう言うと、静かに楽屋を出て行った。
わざわざ俺に言ってきたって事は、きっと追いかけてきて欲しいんだと思う。
でも、今甘やかしたら…。俺は悩んだ。
二宮や相葉、大野は「追いかけなくていいの?」という視線を俺に向けている。
誰がつけたのかわからないテレビは1人でブツブツ呟いていた。
『東京は夕方から大雨、所により雷が鳴るでしょう。』
雨…朝はあんなに晴れていたのにと、朝のキレイな青空を思い出す。
「ねえ、相葉ちゃん。潤君、傘持ってたっけ?」
「ううん。てか、今日は誰も持ってきてないでしょ…大野君持ってきた?」
「持ってない。借りて帰ろうかな〜。」
わざと俺に聞こえるようにそう話す3人が可笑しくて「ぶふっ」っと噴出した。
「わかったよ、わかった!追いかけます!」


俺は走った。雨が降ってようが何だろうが、傘も持たずに走った。
少し息が切れてきたけれど、そんなの気にも止めなかった。
「松本っ。」
玄関の端の暗いところで、まるで俺を待ってるかのようにそこに松本は立っていた。
「あ、雨…降ってたから…待ってた。」
いつもはデカイ態度をとるクセに小さい声で甘える松本を前からグッと抱き寄せた。
しばらく抱きついたまま、手を松本の頬に寄せた。
「冷たっ。」
そのまま顔を近づけ、軽くチュッとキスをした。
お互い片手を外し、下のほうで指と指を絡ませて手を繋いだ。
「ごめんな。」
「俺も…今度からは催促しないから。」
「無理だよ。お前はずっとこれからも俺を催促し続けるね。」
「…付き合ってくれる?」
「もちろんですとも。」


君の明日と笑顔のために
俺は 我侭も聴き 我慢もする。
時には鞭を与えながら。

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